2010年09月14日

「聴く」ということ

「耳」に、「目」と「心」を「+」すると書いて「聴」

単に耳をそば立てるだけではなく、心と目を向けてはじめて「聴」くことになる。

「聴く」ということ



ある音楽家の方からいただいた言葉なのですが、なるほど、
好きな音楽を聴いているときは、曲を耳にただ入れるのではなく、
心のそこから「いいなあ」と思いながら【聴】いてる自分を発見できる。
この言葉がすばらしかったので、家でさっそくメモを取り、
パソコンに入力していたのですが、
そのときふと「これ、音楽だけのことなのだろうか」と考えた。

世の中にはたくさんのいいことがある。
が、単にそれを「いいことだ」と知ったからといって実行できるわけではない。
心に届かせることはできない。

では、どうしたら聴くことができるのだろうか。

音楽で考えると、好きなアーティストの曲であればはじめての曲でも
「聴きたいな」と思って聴く。知らないアーティストの曲や
嫌いなアーティストの曲となると「なんだこいつ」という
気持ちで「聞く」ので、頭にも入らないし、よいとも思わない。

人の話を「聴く」、世の中のいいことを知る、
ということも根本的には同じなのではないか、と。

そう考えると、聴いてもらうために重要なのは
「話す内容」ではなく、「誰が話すか」なのではないか。

「何を話すか」ではなく「誰が話すか」

自分が信頼している人が話すから聴く
有名な立派な人が話をしているから聴く
仲良しの友達が話しているから聴く

そうでない人がいくら話をしたところで、
「ああそうですか」という気持ちしか起こらない。
むしろ「お前が言うな」「そんなのやらない」
といった気持ちも起こってくるだろう。

私は大学を卒業後、教育イベントを開催したり、
不登校対策校を設立したりしながら、
学校の内部と外部の両面から取り組みを続けてきている。

その中で様々な模索をし、実践をし、教育議論を学びにいっている中で、
おぼろげながらに考えていたこと。
それが上記「聴く」ということにつながった。

不登校の子供たち、そしてその親御さんたちは、
悩みながら、セミナーや本で知識を得ている。
が、そんな彼らに共通していること、
それは「理論としてはたしかに納得できる。
しかし、それを実践できるのかどうかと言われると、
できないからこそ今悩んでいる
というのが本音なのではないだろうか。

いまは、教育に関して様々な専門書、手引き、サポート書、そして施設や団体がある。
その多くがそれぞれのスタイルで教育の方針を示したり、情報を提供してくれている。
一つ一つの情報はみなすばらしいものなのだが、
それを活用することができないならば意味はない。

「ものの理を説くことは、人を突き飛ばすことに等しい」

活動を続けてきたひとたちは、なるほど、理論と経験を踏まえた上で、
理路整然としたひとつの主張として納得できるものである。
しかしそれを言われた側は、同様の経験をしているわけではないため
同じ理論を納得できるわけではない。
むしろ、正しいと思われることをつきつけられたことに対しての反発のほうが強く出る。

私はこれまで、「教育問題についてのひとつの正解がある」かの如く、行動してきた。
ところが、それはまさに「悩んでいる人を突き飛ばす行為」であったのではないか。

そう感じたとき、自分の中で方針が大きく変わった。

正しいことを正しいとただ述べるのではなく、
「どうしたらそれを実践できるのか」について、常に考え行動することが必要だ、と。

そのために自分ができること。それは「聴く」という姿勢を身に付けること。
相手の話に、「耳」だけでなく、「目」と「心」を傾ける。
その本質を感じ取り、そして真に相手のためになることを考え、行動する。
そうすれば、相手も私に対して「耳」だけでなく、
「目」と「心」を傾け、「聴」いてくれるようになるのだと。

 今は、理論がどうこうではなく、相手に信頼され、
「聴」いてもらえるようになるための精進の毎日です。



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Posted by くみちょう at 17:00│Comments(0)まじめ
 
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